index <  日誌 < K夫人:目次 24、「しるし」


(補足):意識してはならないこと〜@

「彼女が僕のすべてなのだ」というのは、ウソではないだろうか?

もちろんそうです。ウソです。僕はそういう人間ではないのです。仕方がないのです。
心の中に感情が入って来ないのでです。それは自分でもどうにもならないのです。
それ以前に自分を意識してしまうのです。そして、そこから出るということが無いのです。そういう性格というか、そういうタイプの人間なのです。自分で自分の心の中をのぞき込んでしまうのです。はてしのない猜疑心でもって、自分の心の中をほじくり返し続けるのです。

そうです。もの心がつく前から、もともとそうなのです。自分で自分の心の中をのぞき込んでしまうのである。僕は本当の自分に対して真に正直なのかと。本当の自分はどこか他にいるのに違いないと。そういう人間は、自分以外はすべて他人となる。それどころか自分自身をも他人として接しているのである。

だから正直に白状すると、こういうタイプの人間は、他人を、例えば異性なり、自分の親とか妻子を普通の意味で愛していないのです。というよりもそれ以前に、自分を愛しておらず、愛するということなどまったくおかまいなく、そんなのは全然眼中になく、ただひたすら自分を疑いながら問い続けているのである。まるで他人に接するように。自分は自分にとって他人でしかないのです。

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