index <  日誌 < K夫人:目次 28、妄想。


〜3 象徴。

しかし、「夢」なくして僕は生きて行けない。それがウソであろうと幻(まぼろし)であろうと、誤解であろうと、そんなことはどうでもよいことなのだ。僕は、僕はそれなくして生きて行けないのである。だから追い求め続ける。そうするしかないのである。だからまた、それが、僕の生きている理由なのであり、僕自身のもっとも大切な「自己証明」となったのだ。それは祈りであり、救いであり、願いだったのである。

僕には、それしか無かったのである。そうやって生きて行くしかないのである。それ以外に、生きて行く方法がないのである。それが僕のすべてだったのである。それ以外に僕の現実は、どこにもなかったのである。

自分が生きている、この現実のすべてがマボロシとイツワリの世界なのである。自分自身がすでに偽りなのである。真実の、本当の現実はどこにもなく、あの祈りと救いの世界以外に本当の自分は無かったのである。そして、それを象徴し、それを現実の世界にかいま見せたのが、彼女という存在だったのである。

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