「儒教世界」
〜3、人間関係。
「稲作」という生存の様式のすべては自然条件、人間の力ではどうにもならない太陽の光と水に依存している。いかなる変更も受け入れず、ずっと不変であり続けるということが、この生存のシステムの条件である。従ってまた、そこに生きて持続する人間の社会関係、上下関係といったものも不変でなければならない。 こうした「不変」であるということに根拠と理由を与えているのが、人間の意思に係わることのない、ありのままの自然な状態。もとからあった、人間の意思とは別のところにあって、人間の意思に左右されることのない血縁、つまり、家父長制である。 人間の気まぐれや思いつき、思考や意思を排除したところにある、自然な結び付きである。だからまた、それが絶対的な強制力となり得るし、自然の法則や、ありのままの理由のように思えてくるのである。なおかつ、血縁は、現実に存在する自然の結合である以上、だれも侵害したり、異議をとなえることもできないのである。そしてまた、だからこそ、絶対不変の正当性の根拠となり得るし、また、そうであり続けたのである。 |