「古代ギリシャ精神」


〜5、根拠。


古代ギリシャの根拠は、個人の自由と社会のシキタリが、みごとに一致している点に認められる。このような社会では、政治システムは民主政体以外に考えられない。政治体制と個人の生き方・感じ方・暮らし方といったものが、同じものとして一体化しているのである。また、「一体化」せずして成り立たないシステムなのである。政治システムと個人の生活が、なんら区別されることなく同じものとして人々の暮らしと意識を支配しているのである。

だからまた、それに気づくことも、意識することもなく、意識のされようもなく、自覚するということがないのである。「一体化」しているということは、外からでないと、自分自身というのが見えて来ないのである。区別のない「一体化」というのは、自分で自分を見ることが出来ない場所にいる、ということなのである。知ることも、気づくこともなく、そうした動機もなく、またそうしたキッカケや場面そのものが無い世界なのである。

戻る。              つづく。