「異人種」
〜4、災いのタネ。
確かにそうなのである。このシキタリに反するような異国人、ヨソ者は、社会のシステムのとってたしかに有害な存在なのである。システムを破壊する災いのタネなのである。だから、なるだけ早く排除しようとするのである。良い人とか悪い人などとは別の問題なのである。それは社会の秩序にとって排除しなければならない存在なのである。物理的な異物なのである。 だれもがそうである。そうやって社会が理解しやすいように観念の世界で最適化されて行く。何もかもがそうである。考え方だけでなく、感覚や、生理のリズムも、そして情緒もまたそうである。そうやって人間は社会に馴染み溶け込んでゆくのである。シツケられて行くのである。常識とか道徳というのはこのことなのである。 これはある意味で犯罪的なのであって、否応(いやおう)なくムリヤリ「悪者」を作り出している。ウソでも何でもよい、ムリヤリねつ造しデッチ上げるのである。大衆は何でもよいから信じるものが必要なのである。自分を正当化し、自分に理由と、生きている意味を与えてくれれば、ウソでも偽りでも迷信でも、そんなことはどうでもよいことなのである。 それが、自分でもハッキリと強くわかるのである。ボクは現実からズレてヌケ落ちている存在である。この現実と相性がまったく合わない。この現実とは別の、もともと別世界の住人だったというのが思い知らされるのである。この現実の世界に、自分の理由も居場所も無いのに、表面上の体裁だけでなんとか取り繕って生きているのである。 しかしまた、僕にとっての現実はここにしかないのである。だからまた、息苦しく、つらく、わずらわしく、めんどくさい。泣いても、笑っても、怒っても、たのしげに遊んでいても、心の中はいつも別世界を生きているのである。まことに、しらじらしくも、うんざり、ゲーゲーの毎日なのである。 |