「異人種」
〜6、みなもと。
そして、こうした自分自身のリズムと現実との相性がまったく悪いのである。だから、自分で自分を見つめているのである。そうせざるを得ず、そうするしかなく、そうやって自分をたしかめているのである。自分しかいない自分だけの孤独な世界である。自分自身とは、このことなのである。逃げることも避けることもできず、無視することも許されず、まことに致し方なく向き合わされている。それは実は、自分自身の自意識のことなのである。 いつも自分で自分を意識し、見つめ続けているのである。そうやって、もう一人の他人のような自分を通して世界を見ていて、そして確め、了解しているのである。だからまた、現実からズレていて、ヌケているのである。これが現実との異和感の根源なのである。周りを無視して素通りして、自分で自分を確めようとしているのである。これが不幸の源なのである。 しかし、それは仕方のないことなのである。このような異人種にとっては、そうやってしか自分を確かめる方法がないのである。しかしそれは、また、自分が自分であることの証明なのである。だれか他人に依存するすることなく、自分で自分を生きようとしているのである。そうやって精神の内面は自分の下で、自分の肉体の中で生き続けるのである。 |