「異人種」

〜8、意識の発見。


社会の習(なら)わしや常識、生き方といったものが、真に自分自身の内面から発するもの、自分自身で了解し、生み出し、創造してゆく生きた世界となる。自分の中で、自分が発見されたのである。自分の中にある自己の意識が発見されたのである。精神は初めて、自分自身というのを意識したのである。現実の意味と、自分自身の理由といったものが新たに問われ、自覚され始めたのである。

現実というのが、生きているというのが、自分にとって異なるすがたとなって現れたのである。映し出され、浮かび上がって来て、広がっていったのである。その意味や理由といったものが、それまでとは別の本当のすがたを露(あら)わにしたのである。

それは、これからは自分自身でたしかめ、生きて、形成し、創造して行かなければならないものなのである。現実の世界からまどろみやキリが晴れてきて、本当のすがたが見えてくる。何もかもが自分自身の精神の中にある。

そして、その本当の意味と理由は、自分自身でこれから見つけてゆかなければならないものなのである。そうやって自分自身というのが、自己というのが発見されたのである。精神は自己にめざめたのである。

戻る。             つづく。