「情緒」

〜2、しつけ。


このような、社会の中にかくれ住んでいる異分子、得体の知れない正体不明の人間は、社会の正常な営みを破壊してしまう。それはまた、自分と他人との間のキズナをも破壊してしまう。自分と他人を別々の世界に隔(へだ)ててしまう。だから、プライバシーも人格も人権も、無い方がよいのである。表面上はだれも人権を重んじるが、心のなかでは、無意識の世界では、まったく正反対のことを考えている。

それは理屈とか意識というよりも、むしろ、情緒である。意識せざる感覚や感性や生活のリズムがそうなのである。先祖伝来、大昔からそうやってずっと生きてきたのである。理屈や言葉だけではどうにもならない無意識の習慣や思い込みの世界を生きて来たのである。自分の肉体の生理や神経が織り合わせられた情緒と生活のリズムを生きて来たのである。

それは、自分の中にあって、自分ではどうにもならない無意識の世界なのである。それは、習性や性癖、作法や習慣の世界なのである。誰も逆らったり無視したりできない、幼い頃からシツケられて来た風習や習(なら)わし、シキタリの、無意識の世界なのである。

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