「夢の世界」
〜2、あいまい。
夢の世界の中でも、自分の考えというのは確かにあるのではあるが、いつの間にか、自分が他人になっていたり、あるいはまた、他人の中に自分が入り込んでいて、他人が自分になっていたりする。そうした、自分と他者との区別のない世界なのである。 気まぐれとわがまま、なんの理由も目的もなく、情緒と感情のおもむくまま、気分の移り変わりだけが支配する世界である。なぜなら、自分以外のだれからも指図や制約を受けないからである。自分以外のだれも存在しない世界だからである。 そうしたケジメの無い世界、自己と他者の区別が限りなく不明瞭であいまいな世界である。どこまで行っても自分と現実との区別がハッキリしない、ぼやけたままのぼんやりした世界である。自分と他者との区別が曖昧なままなのである。 だがしかし、この不明瞭であること、自己というのが限りなく曖昧(あいまい)で識別しづらいものであることは、なにも夢に限ったことではない。人間が生きている現実の世界そのものが、そうであると言える。 |