< 続、 「春カスミの情景」

〜2、だれ?



それは同時にまた、ボク自身の精神の世界でもある。
ボクはこの春の情景の中に、
ボク自身の精神の世界を見ていたのである。
ボク自身のなかで何かがめざめ、よみがえり、
満ちてくる。それが何なのか自分でもわからないのである。

いまわしい呪いのようにも思えてくる。
呪いも、あこがれも、希望も、すべて同じことで、
それぞれを単に別の角度から見ているのに過ぎない
のかも知れないし、少なくともボクにはそう思えてくる。
だとすれば、それは当事者たるボク自身に
すべてがかかっている、ということになってしまう。
あーー、忌まわしい。僕はいったいだれなんだ?

    戻る。            続く。