17目次へ < 「新、春カスミの情景」
〜2、タマシイの音色(ねいろ)。
春の山々のすがたは、なにもかもが、
木々も、林も、山全体も、何もかもが丸みを帯びていて、
そして、うっすら白いカスミのなかで、ぼんやりと浮かんでいる。
ぼんやりというのは、山のカタチの稜線というのが、
うすぼんやりしたカスミのなかで、
途切れ途切れになってかすんで見えるのである。
春の若葉や花びらが、鮮やかな色となって、
カスミのなかから浮かんでくる。
白いカスミの中から様々な色が、
その輪郭をあいまいなままで、
まるで、まわりに溶け込むように、
ふっくらと広がっている。
色がカスミの向こう側から、こちらへ向かってやってくる。
近づくほどに鮮やかに、クッキリと。
これはまるで天使の衣(ころも)のようだ。
天使の翼(つばさ)、精霊の舞にも見える。
やはりそれは、明るく、そして白い霧(きり)の中から
やってくるのだ。それは、天使の現れ出る情景なのである。
戻る。 続く。
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