17目次へ < 「新、春カスミの情景」
〜4、背景の生地(きじ)。
しろ色は、この春の情景の、背景の生地であり、
色やニオイや音の、そして肌ざわりの、それら、
自分の感覚のすべての間(あいだ)にあって、
それを伝え、はこんでくる実体なのである。
それは、暖かくおだやかな春の光と、
柔らかくふっくらした空気中の、水の色なのである。
それは生命が生まれ現れ出る場面なのである。
自分自身の、めざめと再生の生地(きじ)であり、
情景なのである。
暗い何もない世界から、
白さというのが明るさとして、何かを映しだしている。
そして、この明るさが背景となって世界を支配してゆく。
暗さとは、潜在(ネガ)、沈潜、内向きであり、
閉じた無意識の世界である。
明るさとは、顕在(ポジ)、昇華、外向きであり、
開いた精神の世界である。
そうしたことが、空気の白さ、
非常にうすくて淡(あわ)い、
空気の白さとして表現されている。
戻る。 続く。
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