〜５、幻覚。
| それは、現実の世界に反射して映し出された、自分自身のすがたなのであって、意識は自分自身の感覚の世界を見ているのである。自分と現実とのかかわり方を見ている。自分自身の存在の仕方を見ている。こうしたことが、まさしく自分で自分を意識する瞬間なのである。自分で、他人とは境界線で区切られた領域の中の、自分自身の精神の世界を見ているのである。 幻覚や幻聴、幻や、蜃気楼のたぐい・・・。ただし、蜃気楼は幻と違って、現実の物理的現象である。というのは、実際の物理的な現実にはない、そうしたマヤカシのような感覚の「感じ方」があるということである。これが幻や幻覚のたぐいなのである。 では、現実にないものが、なぜ見えているのか？現実に無いものを人間は見ているというのも、確かな事実なのである。実際、現実にあるというのと、現実を見ているというのは別の話なのである。人間には、自分に都合のよい現実しか見えて来ないのである。こうしたギャップが幻や幻覚として現れてくるのである。 戻る。 続く。 |