< 指向性


〜10、「納得」


だがそれは、いまだ自分だけの個人的な指向性なのであって、
客観的な指向性だとは言えない。方向性とは、こうした個人に
とっての指向性というのが、客観的な方向性と一致する場合
なのである。だから、やはりそれはバランスなのである。

生存競争と言われているのが、それなのである。そうやって、
全体としてバランスされて行って、指向性と方向性が一致してゆく
のである。そして後々、ゆっくりと全体を見渡して見ると、
個人の指向性といったものが、あらかじめ設定されていた必然性の
ように思えて来るし、また、そのように理解もされてくるのである。

個人の偶然の思いつきや、気まぐれに過ぎなかったものが、
いつの間にか不要のものだけが消えて無くなっていて、
必要なものだけが結果として残っているのである。
だからそれが、「必然」と言えるのである。そしてまた、
人間には、そのように理解されるのである。意識されるし、
感じられても来るのである。なるほどと、思えて来るのである。
だから、これもまた、思い込みと主観に過ぎないものなのであるが、
そうやって人間は、自分自身に納得するのである。


戻る。               続く。