「目の中の世界」


〜7、アップ。


2、 相手の、直接的で特徴的なイメージのみが、アップで見えてきて、その後に徐々に全体像が見えてくる。初めに見えるのは、それのもっとも特徴的で印象的な部分のみである。

例えば、人間であれば、すぐにそれがだれかわかる部分、つまり、目の特徴とか、本人にしかない身体の特徴といったもの。そして、それだけが迫ってきて、その後に全体の姿が見えてくる。また、例えば、なにか獣(けもの)に襲われる夢であれば、キバだけが最初に拡大されて見えてきて、その後でクチとか足元が見えてくる。

夢を見る本人が求めるもの、興味とか関心。あるいは、恐怖や歓喜の、もっとも特徴的な部分。それだけで、すべてが理解できるような部分だけが、始めに、アップで見えて来るのである。

この場合、見えるものの理由とか目的といった、意図的なものが先行している。例えば仮に、まず、その印象とか、象徴といったものが現れて、見えてきて、そしてすぐに、それの実際のすがたとかカタチとなって見えてくる。

夢の中では、何かの象徴ないし印象が、そのままで終わるということが、ほとんどないのである。それらはたいてい、すぐに何かしら目的と理由を持った、ハッキリしたすがたとなって表れて、迫ってくる。また、そうでない場合は、不可解で不思議な情景として、自分自身の謎として残り続けることもある。印象だけというのは、何かの途切れた断片であって、色とかカタチとか模様のかすかな部分の痕跡であって、それだけではなんのことかわからないし、知りようがないし、それだけだと記憶に残りにくいのである。


戻る。             続く。