「続、紅白」


〜1、パターン。


日本では、道路標識や工事現場、そしてまた、人々の内面の情熱や決意、あるいは、表面上区分された人間集団を識別したりするのに、その目印として、よく紅白のパターン化された「色」が使われる。

もちろん、そうでない場合もあって、工事現場の作業員のチョッキがそうである。黄色が目印に使われ、赤色は無い。人間を表すのに赤色は不向きということなのだろう。たしかに赤だと気味が悪い。血の色を連想してしまう。そうした事故を無くすために使う目印の色なのに。だから、作業員のチョッキは赤色ではなくて、黄色にほぼ統一されている。それに、黄色が最も明るく、目立つし、遠くからでも見える。例えば赤色だと、雪山では白雪の反射で黒く見えるそうである。

工事現場や道路標識では、また、黄色と黒(または白)のパターンも、たまに見かける。よく見ると「紅白」との違いがわかって来る。紅白は空間の間仕切りや区分として使われている。これに対して黄色と黒(または白)の標識は、その紅白の目印(情感)のある場所の説明として使われている。言わば、注意書きとして黄と黒(白)でもって文字を入れている。

標識が紅白の場合は文字は入っておらず、文字が入っていると気持ちが悪い。文字を赤で描くのは弔意書きにつながる。赤を下地に白で描いても、気持ち悪いのに変わらない。だから紅白のパターンでもって文字を描いているのは、あまり見かけない。赤色は、どこか感情的な感じがするのである。自分ではどうにもならない、そうした感情的で本能的なものを感じてしまう。どうにもならないものを、触れたり、かかわったりしてはならないのである。

戻る。              続く。