「自意識」
〜4、部外者。
20世紀前半まで、日本では、異文化は「もの」として入って来るのであって、人として入って来ることがなかった。こうしたこともまた、きわめて異質で特殊な世界だったのである。 島であること、海によってへだてられて、同じ場所で、同じ子孫が千数百年ずっと同じように生きて来た。そうするしかなかったし、そうすることが出来たのである。こうしたことは、ユーラシア大陸では、およそあり得ないことである。これが島であるということの特質であって、入って来ることも、出ることも容易でない世界なのである。 ただたんに距離的にそうなのではなくて、文化的にもそうなのである。情緒や気質、気性、そしてそこから形成されてきたマナーやルールとといったものが、島という試験管の中で、特化され、固定され、均質化してきたのである。 有史以来、外国の侵攻をほとんど受けることがなく、また、天皇という名の大朝が、別の大朝に交替することがなかったのも、その必要がなく、また、外からそれを望まれることもなかったからである。要するに、世界から見ると部外者、どうでもよい、よそ者であり続けたのである。 |