「自由」
〜2、閉じた世界。
もちろん相手が何を望み、何が動機で、また何を考えているのかまではわからない。しかし、お互いが相手への心情や気持ちといったものを気づかい察して、空気や気持ちや雰囲気としてよく知っているということなのである。知り尽くしていると言ってもよい。なぜなら、自分もまたそうなのだからである。 また、そうでないとこの日本では生きて行けない。日本列島は狭く息苦しいのである。だれもが互いに気づかい支え合いながら生きている世界なのである。そうでないとこの世界は壊れてしまう。狭く息苦しいのである。避けることも逃げることも出来ない。そうした「場所」そのものがこの島国にはないのである。まるでニワトリ小屋かウサギ小屋のように、一匹でも騒ぎ出すと群れ全体がパニクリ、収集がつかなくなり、システム全体が成り立たなくなり壊れてしまうのである。 だから、誰もが互いに相手やまわりに気遣い、無言のままで察して思いやりながら共に生きているのである。そうせざるを得ず、そうやって社会が維持され成り立っているのである。日本は狭く、そして息苦しいのである。空間的にも歴史的にもそうした閉じた世界なのである。 |