「心情」
〜2、不思議。
だから、意思表示といったものは、いつでも、どこでも、非常にあいまいである。曖昧(あいまい)であることが好まれるのである。返事は、いつでもYesでもNoでもなく、どっちつかずのあいまいなのである。しかしそれは、外国人から見ると、そう見えるのであって、日本人から見ると、それはそれで、かなりハッキリした返事なのである。 YesかNoである以前に情緒と気質の中で、当事者全員の意思が一体化しているのである。意思というのが集団の中で共通化されているのである。そうした集団的な共有意識の中にあっては、二者択一のYes・Noよりも、もっと融通の利く曖昧さの方が、より根源的な意思統一であり、どんな事態にもすぐに対応できる柔軟性なのである。 実際、日本の社会組織といったものは、そのように運営されている。天下り、天の声、根回し、談合がそうである。さらにまた、全会一致がよしとされるのもそうである。また、不手際があると、トップが土下座して涙を流して、感情と情緒だけで勘弁してもらえるという特典もまたそうである。全く理解の出来ない不可解で不思議の世界である。 |