「風土」
〜13、みんないっしょ。
それは人々の意識の届かない世界を支配している、原理とでもいったもので、なにげない、どうでもよい日常の様々な行動や意思決定の根底にあるものである。そしてまた、それらを支配する舞台となっている無意識の世界での出来事なのである。 プログラムされ、仕組まれ、そして最適化されていって、いつの間にかそれが無意識の世界で観念化されているのである。つまり、思い込みの世界なのである。そうやって自分で納得し、了解し、理解し、そしてまた、自分自身を安んじて正当化してゆくのである。だからまた、自分自身に疑惑を抱く、などといったことがないのである。なにげない普通の自分に疑いを抱くのは耐えられないことなのである。 それは、日本社会のシステムの根源にあって、それらすべてを貫く秩序の共通性であり、そしてそれが指向する共通の必然性と、同一の原理から来ているものなのである。日本という民族の文化的一体性、そしてその歴史的に一貫した継続性から来ているものなのである。そしてまたそれが、日本という民族の気質や気性の特徴なのである。他の民族と比べたときの、際立つ特徴として認められるものなのである。それは日本人のアイデンティティーそのものなのである。 日本におけるこのような、いわば、文化の「型」とでもいったもの。集団的協調性や思いやりと気づかいの、そうした我を忘れた世界の中で自分自身の世界を見い出しているのである。安心と安らぎと自分自身の本来の姿を見ているのである |