「風土」


〜6b、窒息(その2)


それはまた、日本列島の豊かな自然とも密接に関連してくる。

この狭く息苦しい島の生活の中で、同じ子孫がずっと同じように生きて来て、まったく変わり映えがしない。うんざり、退屈、疲れる、しんどい。つまり、精神的にまいるのである。わずらわしく、うっとうしいのである。

このような変わることのない人間関係とはウラハラに、日本の自然は実に多種多様で変化に富んでいる。もしかすると日本人は、自分というのを、狭く息苦しい社会のなかではなくて、自然の中に求め探し続けて来たのではないだろうか。移り行く自然の、時間の流れのなかで自分を見つめ、たしかめて来たのではないだろうか。

しかしまただからこそ、そうせざるを得ず、そしてまたそれは必要なことでもあったのである。窒息状態にあって、押しつぶされそうな「個」というのが、外の自然の変化に合わせて、流れて、移ろい、行き交い、交流し合うのである。そして呼応し、コダマし、何かにめざめて行くのである。

もどる。              つづく。