「別の意味」
〜10、導き。
実際、人間の身体(からだ)というのが、こうした気候、人間を包む空気の質の気温や湿度のなかで生き、作用し機能しているのである。いつも空気が人間を包んでいて、その中で人間が生きている。 それは単に無機的な暑さというというよりも、生理的で情緒的な暑さ寒さであり、それが繰り返すリズムの、無意識のうちに蓄積される気分や気持ちのあり方、生理的・心理的な情緒の現実の背景、肌地となっているものなのである。これが、人間が生きている現実の世界なのである。そしてその下地となっている現実の条件なのである。 それは普段、意識されることのない無意識の世界でもあって、常に人間に作用し影響し続ける現実の世界、意識されざる現実の条件や制約、方向性なのである。人間を包み、人間を支配し、いざない、導き続ける生きた現実なのである。 それは、いわば、だれも気づくことのない、地球という「フラスコの中」の世界なのである。ちょうど毎日、太陽が東から昇り、地上の上で人間が暮らしているのと同じである。あまりに当り前すぎて、だれも気にするということがない世界なのである。 |