「2:古代ギリシャ」
〜4、流浪民。
誰もが見知らぬヨソ者であって、自由に生きて行くしかなかった。流浪する移民の世界にあって、すでにある生存のシステムに依存することが出来なかったのである。既存のシステムは既存の住民のものであり、それに頼ったりアテにすることができないのである。 むしろ、これら流浪する移民は、既存のシステムからはじき出され、追い出されて来た人々なのである。既存のシステムでは生きて行けず、そこから出て来た人々なのである。だからまた、自分で生存のシステムを作るしかなかったのである。 そして、それを可能にしたのが現実の自然条件であり、そこに生きる人間の主体的・能動的な活動である、というのは一面的な誤解である。人間はそんな恵まれた存在ではないのである。実際には、たまたま相性が良かったというだけの、偶然ではないだろうか。 偶然というのは、そうでなかったことも多々あったのではないかと推察されるのである。つまり、人間にとっての「行き倒れ」や奴隷売買や、あるいは当然のこととして衰退し滅亡に至るようなこともあったのではないだろうか。いや、むしろそれが普通の状態だったと思えて来るのである。飢え以前の残虐や非道の世界である。 |