「情緒の世界」


〜2、性向。


湿度は情感であり、乾燥は意志であり、暑いというのは発散を求め外へ向かう気質であり、寒いというのは発散を避けて内にこもる、もの静かな性向と言えないだろうか。

だから南国は陽気で、感情が直接に外へ出ていて、熱っぽく、そして移り気である。あるいは北国の物静かで、持続する意志の緊張、沈潜した内に向かう気質はどうだろう?

あるいはまた、乾燥した砂漠地帯に見られる、情感と潤いに欠けた、打算的で意志的、勇敢で冷徹非情な性向はどうだろう。それはやはり、人間をつつむ空気が、または気候といったものが、人間の情緒や気質を方向づけ、条件付けていると言えないだろうか。

それは情緒や感覚、気質や気性、そして、その場の気分や気持ちのあり方といったもので、絶対的に人間を包み、支配し、規制し、方向づけている、「風土」といったものである。自然環境とそこに生きる人間の意識せざる生活のリズムといったものである。

戻る。              つづく。