ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ) p16


「変化」



古代ギリシャの、その起源の異なる様々な民族の多元性、
複雑で、雑多で、多様で変化に富む地理的条件。
そしてそれらが分断され、山々や海で区切られ、独立しつつも、
にもかかわらず、海によって、全体として一つに統合されている。

そうしたギリシャの自然といったものが、
それまでの起源の異なる様々雑多な、混沌とした、
民族の寄せ集めや、混じり合いといったものを、
一つの新たなギリシャ民族へと移行させ得たのである。

それぞれが独自性を持った自由であると同時に、
それらが狭い海によって、一つに統合されていったのである。
ギリシャの外の世界に対しては、ギリシャは一つに
まとまらざるを得なかったし、まとまるしかなたったのである。
ギリシャを中から見ると、依然としてバラバラだったのかも知れないが、
これを外から見ると、やはりギリシャは一つで、
ギリシャはギリシャでしかなかったのである。

そうしてのみ、ギリシャは、
ギリシャであり続けることが出来たのである。
土地にしばられた農耕から商工業、略奪から貿易、海賊から海運へと、
文明の生存様式が変化・移行し得たのも、そのためである。

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