ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ) p20
「人体デッサンの前提」
精神の現われ出るもっとも身近で、直接的な場所、それが自己の肉体である。肉体は、自己の精神のすがたなのである。その発声、カラダの動き、そして、カラダ(身体)の形(カタチ)そのもの、さらに、骨格構造とその仕組み・・・、それらは人間にとって、自らの精神の表現だったのである。
そしてそれは、現実の暮らしのなかに生きる、生活の感情表現とも異なる。それは感情を超えたところにある、あるいは感情以前の、印象の抽象的象徴、ないし感覚の直接的・直感的な表現なのである。そしてそれが、歌とか、踊りとか、絵画とか、彫刻とか、あるいは肉体の競技といったものに表現されたのである。歌は自らの神話であり、踊りはその儀式である。そしてそれが、自らの根源であり、信じるところのものだったのである。
それは暗示であり、符号であり、導きであり、そしてまた、自らが信じ求めたものだったのである。だから人間は、それを通して感動もするし、永遠で普遍的なものを予感することがでたのである。そして、それがまた、人間精神が自らの肉体を通して、表現しているものだったである。
戻る。 続く。
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