ヨーロッパのの起源(古代ギリシャ) p25
「誕生」
それは、新たな精神と、物の生産方法を生み出し、また、精神の感じ方をも変えてゆく。生存のシステムと、自分自身のライフスタイル、存在の様式を変えて行く。それは新たな、人間と自然との関係を示している。人間にとっての自然の価値というのが、新たに問われ、見つめられ、発見されてゆくのである。それは再発見、再生、そして新たな誕生を意味している。
家父長制という自然の結合から解放(または追放)され、別のキズナで生成されてくる自分というのが意識され、そして積極的に自然というのが発見されてくる。人間にとって、何か新しい価値あるものとして、それまでとは違う使い方、かかわり方、あるいはじ方として迫ってくる。それは予感でもあり、恐れやためらいでもあり、希望や祈りでもあったのである。
このような、自然に対する感じ方といったものは、まさに、自分自身に対する感じ方でもあって、個人というのが、自然と区別され対立するものとして対峙される。しかし、それはまだ、自覚されたものでもなければ、自己意識として意識されたものでもない。
意識も自覚もないまま、ただ、個人の生存活動のプロセスとして完成されて行くのである。それはいまだ、意識されてはいないが、暮らしが落ち着いて、余裕ができはじめると、ふり返られ、自分が何であったのか、わかって来る。また、それを知る必要にも迫られてくる。
戻る。 続く。
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