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13、残酷。



島という逃げ場のない狭くて閉じた空間の中にあっては、なんとしても、争いごとを避けなければならない。島という空間的に閉じた世界での争そいは破滅的なのである。逃げ続ける場所(空間)そのものが無く、最後までとことん破滅するまで争われる以外にないのである。

だからそれはまた、なんとしても争い以前のところで制限されるように、システムが機能するのである。そうでないと、社会全体が共倒れになる。破滅的で社会的資源を枯渇させてしまう。大陸のように、どこか辺境の方から新たに人間とシステムが入って来る(または出て行く)ということが無いのである。

だから、争いを避けるということが、島という狭い空間でのシステムのあり方であって、存続の条件なのである。それはバランスであり生存のための方向性なのである。そうしてのみ、システムは維持され、保存され、継続して行くことが出来たのである。

だから、政治の決めごとはタテマエとホンネに分離し、その場その場面ごとに臨機応変に対処される。悪くいうとエエカゲンであり、よく言えば柔軟な社会なのである。だがそうした柔軟な社会にあっても、最後の、そしてまた最後のギリギリのところでは、悪意といったものを排除しなければならない。

それは、もちろん排除される者にとっては、日本という島の中で生きてはゆけなくなる、生きていてはならない存在だということを意味している。だからこそ、それが、社会的強制力として、規制として機能し得るのである。それは残酷なもの言わぬオキテであり、シキタリであり、だれもが知っている暗黙の了解事項なのである。

戻る。            続く。

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