index < 日誌 < u. 日本。< 「赤と白」


 
16、島国。



見た感じからは、「赤と白」がもっとも目立つように思えるが、その意味するところは、やはり、ケジメであるように思える。行動や意識の中に、何かはっきりした強力な境界線、立入禁止の世界があって、その警告標示のように思えてくるのである。ことばにならない、なにかのオキテを表している。

日常の日々繰り返される暮らしの中に見る、紅白(=赤白)で表現される何かの印(しるし)。象徴といったもの。それは、自由で気ままな気配りと協調性で成り立つ、この温和でおだやかな日本社会のただなかにあって、それを維持し保存し続けるという、もの言わぬ固い決意と信条の現れであり、そうした絶対的な意志と、有無を言わせぬ強力な強制力の存在を、暗にほのめかし宣言したものなのである。

そして、そうしたオキテ、決意や信念といったものを色でもって表現すると、やはり、「赤と白」しかないように思えるのである。白のシンプルで普遍的な色。どこでも、だれにも、あまねく世界全体を照らす普遍性。これが、その背景の色になっている。

そしてその中で、飽(あ)くなき絶対的な意志と、強制力を象徴するのが、この丸い赤(日の丸)である。それは、残酷なまでの強力な意志と、感情の高揚、そして退くことのない固い決意を表明している。

しかし、それにしても、それではいったい、この決意とか感情は、いったい何に対していだく感情なのだろうか?ひとことでいってそれは、外の世界(ユーラシア大陸とアメリカ)に対する意識である。ということは、この決意とか感情といったものの正体は、結局のところ、閉鎖的で内向的な、閉じた島国、鎖国としてのそれである。そしてまさにここにこそ、自らの存在理由と、自意識が見いだされる。数百数千年にわたって堆積してきた民族の無意識の精神世界がここにある。

戻る。            続く。

index < 日誌 < u. 日本。< 「赤と白」