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17 自意識。



こうした日本という囲いの中ではどんな宗教でもそのまま馴染むし、なんら対立も争いも起こらない。それらすべてが同じ日本人という共通の土台のうえに営まれているからである。

だからまた、宗教の違いなどといったことは、どうでもよい何の関係もないことのように思われている。少なくとも日本人同士の間ではそうなのである。

もしもそうでなくて、真の宗教が入って来るとすると、日本というところではけっして受け入れられることはない。何もかもがこの人間=日本人=日本という基本原理の上で初めて存続し得るし、認められ了解されるものとなっているのである。

そしてまたこれが、まさしく「日本人」という歴史的・空間的現実なのであって、これを離れたところに日本人は存在せず、また、日本人にとっても人間という概念そのものが成り立たないのである。宗教も政治も、そしてそれ以前の人間関係そのものが成り立たないのである。そしてこれこそが日本人にとっての自意識なのであって、ここから離れたところに自分というのは存在せず、また自分自身を見失ってしまうのである。

戻る。            続く。

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