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「日本人」でなくなる。それは日本という現実の世界を生きる者にとっては、自分たちの心の拠り所、情緒の世界を否定するものとなっている。それは自分が日本人であるという、日本人としての共通性・共有性・同質性を意味している。 日本の宗教や政治・社会自体が、このような同質性を元に、またこれを前提にして成り立っているということである。そしてまた、だからこそ先ほど述べた「空気」や雰囲気・気分といったものが何よりも重視されるのである。それは重視されざるを得ず、重視できるし、また重視しなければならないものなのである。 これは特殊日本的な情緒の世界であって、また、コミュニケーションや意思表示の最も基本的な方法ともなっている。たしかにこのような無言の空気や雰囲気といったものが、日本という社会のコミュニケーションと、意思の合意と了解といったものを支配し規定している。 まるで夢のようにもうろうとしていて漠然としてはいるけれども、確かにこれが日本という社会を支配していて、導いている。何事に関しても責任の所在が曖昧で、だれも責任を取らないし、取りようもない、こうした社会では集団的な協調性が何よりも好まれる世界なのである。 |
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