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しかしそれにしても、なぜこのような、いわば無意識の情緒と、コトバにならない雰囲気や気分だけで、社会というのが成り立ち得るのだろうか。どうしてそれが現実に機能し営まれ、システムとして継続して行くことが出来たのだろうか? それは、このような情緒の気質や気性が成り立ったところの、現実の世界の条件に求められる。つまり、島であるということ。同じ子孫が同じ場所で、同じ習慣やシキタリ、そして生存のための型式を共有し続けてきたということである。 数百数千年もの間、ずっとそうして生きてきたということである。つまり、外見上も、また内面的にも自分でも知らぬ間に均質化・均一化しているということである。外見上も、また習俗や文化といったものも、さらにまた内面的な考えや気質・気性といったものもそうである。 だからそれが見知らぬ相手でも、たとえ具体的な行動やコトバがなくても、そのしぐさや雰囲気、目の動きや気配だけで相手がいったい何を考えているのか分かってしまうのである。 数百数千年の間、何も変わることのないこの「島」という囲いの中で、それが馴れとなり、無意識の習性や情緒となり、やがて常識となって、生活の型式、無言のオキテやシキタリ、そしてシツケといったものを作り出して来たのである。 |
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