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「島」という地理的条件が逃げ続けることを不可能にしている。必ずトドメを刺される。必ずとらえられて報復を受ける。そしてこれを同時に、ごくフツーの大多数の一般的な人々についてみると、きわめて「いさぎよく」、すぐに群れて迎合して媚びる。節操がなく変わり身が早く、そのあまりにも手際の良さに唖然とさせられる。非常に慣れていて、習慣と化している。 たとえば地震のあとの平然とした態度もそうである。実に理性的で模範的な態度でもある。まるで定例の年中行事でもこなしているかのようにさえ見える。あるいはまた、戦後アメリカが日本に進駐して来た時もそうだ。あまりに手際よく統制がとれ、秩序整然としている。し過ぎている。これが昨日まで一億玉砕といってあれほど敵意をむき出しにしていた国民なのである。明治維新の時もそうだ。 またこれを日本の古代について見ると、「丁未の乱」は神道と仏教という日本史の上で唯一の宗教・イデオロギー戦争なのであるが、これについても世界史の常識からすると、まことに不可解な決着の仕方をもって終わっている。「神・仏・儒」習合思想である。異なる宗教同士が和合している。お互いが相手を排除したり対立することなく共存している。 これを外の世界の第三者が見ると、まるで「二重人格」のように見えるが、決してそうではなく、ただそんなことに興味がないということなのである。そしてそれが通用もするし、それどころかそれが一般的で普通の世界なのである。宗教以前の何かが作用しているように思えてならない。 |
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