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こと日本に関して言えば、このような宗教ないし信条の違いによって、対立する相手ないし集団を追い立てたり、突き出してフクロ叩きにする。あるいは追放するか抹殺することもなく、また、排除することも隔離することもない。 ホロコーストも民族浄化もポグロムもない。信仰ないし宗教というのがどこまで行っても外面だけのものであって、自分自身を省みる内面的な自己意識とはなっていないのである。また、日本には異民族がほぼ無視しうるほど少ないため、それは当然といえるのかも知れない。 日本では、このような排除したり隔離したりするのは、もっと別の種類の人々に対してである。日本に生きる者にとっての最も基本的なことを守らない者に対して排除するのである。 信仰でも思想の違いによる排除でもない。それ以前の日本に生きる者にとっても最も基本的なルールとマナーを守らない者に対して排除するのである。コネと談合、口利(くちき)きを無視する者に対して制裁と社会的・集団的「懲罰」が加えられるのである。日本というシステムに逆らう者を排除するのである。 もちろん、こういう言い方なら、どんな地域、どの時代、どの社会でも同じであって、システムにそぐわない者は排除されるんである。もっと正確に言うと、排除すること自体が目的であって、これが不可欠の前提としてシステムが成り立っているということである。 |
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