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3、ペット。



これでは、現実の実際に起きている問題といったものが、何も提起されることがないし、そしてまた、解決されることもない。いわば眠っている状態、夢の世界である。のぞんだことが、そのまま目の前に現れてくるし、都合の悪いことは、いつのまにか消えて、隔離され排除されている。なにも変わらないし、同じことが永遠に繰り返されるだけである。

こうした状態をもって、それが理想の社会だと思い込んでいる。夢とマボロシと幻想の世界を永遠にさまよい続けている。まるで、母親の部屋しか知らない、世間知らずの受験勉強しか知らない、お嬢ちゃま、お坊ちゃまの世界である。大人の顔をした幼児である。

彼女の口元、目の輝き、表情の輪郭をかたち作っているシワといったもの、そうしたもののすべて。彼女の意志、彼女にしかない彼女だけの、なにか精神的な意志といったものがどこにも無いのである。これではまるで、タマシイを抜き取られた、作りものの人形のようだ。だからまた、だれからも愛され可愛いがられるのである。そしてまた、ただそれだけの、ペットのような存在なのである。視聴者がタレントに求めているのは、このようなペットなのである。

自分自身の考えというのを持たない。それはいつも自分の外から、だれか偉い人が持って来てくれる。テレビ、新聞、政府がそうである。そしてそれをただ、コピーして、受け売りするだけの、無力ではかない存在。まるで、人の顔をした人形のように。

戻る。           続く。

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