index < 日誌 < ap理由。< 「見えるもの」p8


 
4、時間。



カタチとその質、形式と内容、外面と内面・・・などといった見方からすると、もう一つとても大事なことがある。それは、時間という考え方である。それ固有の必然性とか理由といったものは、時間の変化の中でしか見えてこないからである。そしてこれが自己の同一性の根拠となっているからである。個性とか「種」としてのオリジナルな根源、それが現れる舞台となっているからである。

同じものに見えても、異なる動きをする場合があって、それは、時間的に続けて見ないとわからないのである。それが「前」なのか、「後ろ」なのか。あるいは、「始まり」なのか、「終わり」なのかというのは、時間の方向性のなかで始めてわかってくることなのである。

もしも、それぞれがたがいに離れている同じカタチのものが、同じ条件の下で異なる動きをしているとすれば、それはカタチは同じでも違う性質をもった別のものである。すがたカタチは同じものであっても、全然、別のものである。なぜなら、それぞれが異質な原理と秩序の下に存在しているからである。そうしたことがわかるのは、やはり、時間的に順序を追って初めて気づくことなのである。

戻る。           続く。




index < 日誌 < ap理由。< 「見えるもの」p8