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人間の感覚といったもの。 感覚が、感覚自体に対していだく感じといったもの。たとえば、わけもなく心地よい感じ、気持ちがよい感じ。それは何か相手がいるとか、なにかの理由があってとか、そういうのではなくて、理由もわけもないのに、なにかおだやかで優しげな感じをいだくことがある。自分でも、なぜそうなるのかわからないのである。つまり、自分の意識とは係わりのないところで、感覚が感覚に対して、何かそうした、心地よい感じをいだいているのである。 それは、その場の空気とか雰囲気といったものかも知れないし、あるいは純粋に、自分の肉体の生理的な落ち着きとか、安定ないしバランスから、そう感じているのかも知れない。いずれにしても、はっきりした理由のない心の落ち着き、漠然とした言い知れぬ、なにかぼんやりした安定感といったものである。しかし、はたしてこうした、理由のない安定感といったものは、いったいどこから来るのだろうか。 それは、肉体そのもの。肉体の感覚だけが、それと記憶している、祖先の記憶ではないだろうか。それは無意識の世界のマニュアルであって、規範であって、バランス(調和)であって、祖先の記憶が私たちの肉体の中に残していったものである。その感じ方や指向性、あるいは衝動として。 |