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3、気づかない。



視覚の物理システムとその設定、機能の型式。見えるもの、見えないもの。それらのすべては、祖先が自らの記憶として、子孫の肉体の感覚の中に、なんらかのカタチとして、そして、その機能の型式として残していったものなのである。

そして、それを私たちは、まぶしさの中に見ている。あるいは、明かりの消えた闇の世界に見ているのである。たしかに、暗い闇のなかから、灰色のマダラ模様のようなものが浮かんできて見えるが、それがいったいどうしたというのだろう。にもかかわらず、気になって仕方がなく、どうしょうもなく惹かれてしまうのである。なぜなら、それは自分自身を見ているからである。

それはマブしさも同じで、それがマブしさというもので、強烈な光の強さで景色が飛んで、世界のすべてが真っ白になった状態である。もっと正確にいうと、それはまぶしさの中であり、まぶしさの向こう側の世界を見ているのである。白いまぶしさの中で、世界のすべてが呑み込まれて、その向こうのかなたに、別の、異質な世界を見ているのである。

それは本来ならば、見てはならないもの、見えないもの、見る必要のないもの。あるいは、もしかすると、普段の日常のごくありふれた日々のなかに、どこにでも見つかるものなのかも知れない。いつでもどこでも見えているはずなのに、ただ自分がそれに気づかないでいるだけ、なのかも知れないのである。

戻る。            続く。

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