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5、輪郭線。



カタチとしての、線とか表面が識別できない。区別もない。すべてが同じ空間の中で現れては消えてゆく。そして、自由自在に出たり入ったり、なんの区別も識別もしようのない空間。そうした、常に変化し移ろいゆくマダラ模様の世界なのである。従って、時間の概念はない。時間というのが成り立ち得ないのである。

自己と他者の区別のない、内に向かって閉じた世界。いまだ外の世界を知らない、ちょうど、タマゴの殻(から)の中の世界である。だとすれば、それは「変化するマダラ模様」として表現する以外にないのである。ハッキリした線と面、そして色というのがなく、何かを区切る輪郭線といったものもなく、ただ色なき薄明りの絶え間のない変化の世界。ここには自己も他者もなく、それ前の、いまだ自己というのが自覚されずにいる、無意識の世界である。

戻る。            続く。

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