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7、衝動。



夢のなかで衝動が先行する場合。
たとえば人であれば、その目とか顔の表情が真っ先に出て来て、その輪郭、すがたといったものは、どうでもよいものとして後から見えてくる。衝動と動機が先行するのである。それが何かという印象とか、象徴するものとか、特徴的なものが、まず初めに見えてくるのである。まず「誰か」であり、その次に「何のために」といった順序になる。

それは直接に情緒を表現している。現実にある何かを象徴し暗示するものとして。しかし、それが何かというのが最後まで分からないのである。現実から切り離されているのである。だから、暗示と象徴なのであって、そこから出ることがないのである。だからまた、それは情緒でしかないのである。

現実とは別の世界なのである。いつまでたっても、それが果たして何だったのかいうのが分からないままなのである。それは情緒の世界を映し出しているのであって、その原因となった現実の理由や動機などといったものとは何のかかわりのない世界なのである。

それが何かを暗示するにとどまるのは、情緒が情緒だけで自分を表現しているからである。情緒だけではそれが何かというのがわからないし理解も出来ず、記憶にも無いからである。だから情緒なのであって、情緒とは、そうした意識とか思考の届かない世界なのである。

だから、意識と思考の脈絡といったものが、初めから欠けているか、途中で途切れている。思考を無視して、情緒だけで勝手に物語を作り出しているのである。だから、話の筋といったものが成り立たず、支離滅裂で、思い込みと気まぐれと空想だけが、みずからの望むままに現れては消えてゆく。望めばなんでも出てくるし、要らないものはいつの間にか消えている。自分の思いのままなのである。

戻る。            続く。

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