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しかしたしかに、自分が望まないもの、要らないもの、それとかイヤなものが夢の中にむりやり、いきなり出てくる場合がある。 一つは、生理的・感覚的な原因で現れる場合である。例えば、フトンが重く胸を圧迫し、息苦しくなって、何かに襲われたり、追いかけられたりする夢を見る場合がそうである。あるいは、寝ている姿勢の関係で、カラダの一部だけが冷えていて、夢のなかでそれが人の気配として感じられ、現れてくる場合などである。 もう一つは情緒的なもので、情緒が意識を無視して、情緒の都合だけで、夢のなかで物語を作り出している。なにげない日々の暮らしのなかで、ふだん気にしていること、気に病んでいることがあって、それが夢の中で、まったく別のカタチをとって現れてくる、あるいは、それとは関係のない物語として現れてくる場合などがそうである。 例えば、気が滅入ってやりきれないという心情だけが強く現れていて、それだけが大事なのであって、それ以外の物語の理由や原因はどうでもよいものとして、夢が物語を勝手につくりだすのである。 それは普段から気にしている「何か」を、意識以前の、それと意識されることのない、情緒の世界で表現して見ているのである。だから、その「何か」というのが直接、そのままのカタチで現れるということがないのである。それは、なにかそれとは関係のない、別の出来事、別のカタチとなって現れてきて、それとなくそれを示唆し、暗示している、そうした、意識されることのない、無意識の世界、情緒の世界なのである。 |
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