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9、領域。



そして、そうした情緒が暗示し、たとえようとするもの。そうした何かが人間の心のなかに入ってきて、それを支配し、方向づけ、堆積されてゆく。それは個人の感覚の世界でもあるし、また数千数万年にわたる祖先の暮らし方が求めて導き出した、生理や感覚のカタチやパターンとも言えるものである。

こうした、自分でも意識されざる無意識の感覚、感じ方といったものは、それがはっきりと意識されないものであるがゆえに、どこにでも、いつでも入ってきて、人間の感じ方と考え方を支配してゆく。

つまり、方向性とかその規則性、パターン化された感覚の感じ方とか、特殊化され最適化されてゆくその「種」固有の傾向といったものである。そして、こうしたことが情緒のあり方といったもので、情緒そのものを支配しているのである。

このような「情緒」の特殊性や方向性、規則性などといったものが一体となって独自の特有のものとして、さまざまな情緒のタイプや様式が、そこから区別され形成されてくる。こうしたことが、現実に生きて活動している情緒のあり方である。

このような情緒の傾向の特有の境界線、そしてこの境界線に沿って結び付けられ、形づけられた輪郭と領域といったもの、そしてそのカタチといったものが歴史と地理上に現れてくる。

そしてこうしたことが、現実の生きた種ないし民族特有の「情緒」ではないだろうか。このような情緒といったものは、生理的情緒でもあって、民族が生きて暮らしている、その社会と自然条件と密接に関連しているのではないだろうか。あるいは、そうしたことが自意識の根源にあるのではないだろうか。

戻る。            続く。

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