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2、明るい。



しかし、同じボタン雪でも早春のころのそれは違う。ひとことで言って明るいのである。空全体がまた、目に見える情景全体がなにもかも、冬と違って明るいのである。

それは、冬と春との、太陽の軌道の違いなのであって、春の太陽は、空高く、そして長く景色全体を照らし続けている。明るく、そして暖かいのである。だから早春に雪がふっても、それは一時的なものなのであって、すぐに晴れて暖かくなるというのは、経験上からも、また身体上の記憶からも予感されるし、十分に予測もされるのである。

つまり、のぞみとか、あこがれといったものが、すぐ目の前の手の届くところにあると思えて来て、それが明るく開いてゆく、そうした暖かさというのが早春のころの気候の基調なのである。これと反対なのが、うす暗さ、寒さ、内指向なのが、真冬の基調なのである。

戻る。            続く。

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