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2、湿気。



といっても、空気自体はいまだ冷たく感じられる。つまり、ここちよさのなかに、緊張感がある。それが朝と昼、夕方と、ゆるんでは閉じて繰り返されるのである。あるいは、冬から夏、夏から冬へと繰り返されるのである。閉じて開いて、緩んで締めて、生と死がくり返される。そして、それを身体が知っている。だから、あわてて動揺することはないが、毎日がとってもいそがしいのである。朝と夕の温度変化と、季節の移り変わりに追い立てられるのである。

早春の明け方のいまだ冷えびえとした寒さ、春の中ごろの冷たい緊張感、初夏のまだ冷たさの残る爽快さ。それは、つまり、地表の大気の温度と湿気(水蒸気)に、人間の肌が反応しているのである。

まず、例えば気温が10度C下がると、飽和水蒸気量は半分に下がる。 ということは、大気が抱え込んで伝達する熱の絶対量が半分に下がるということである。仮に、30度C下がると熱または寒さの絶対量は8分の1にまで下がる、ということである。

人間が感じる寒さ暑さは、温度(質)×水蒸気量の、熱の絶対量で決まるのである。気温が極端に低くても、それに含まれる水蒸気が少なければ、むしろ涼しいとか、痛いという感じなのである。シベリアやカナダ、あるいは日本の北海道の気候がそうである。

この、気温と飽和水蒸気の割合というものを、きっちりと理解しておく必要がある。温度が少し違うだけで、大気が吸収、または吐き出す水蒸気の量、すなわち「熱」の量が、全然違ってくるのである。日本は湿気の非常に多い国で、それはつまり、同じ気温であっても、その体感は、乾燥した熱帯や寒帯よりも、はるかに強烈である。夏に蒸し暑く、冬に底冷えのする気候なのである。

戻る。             続く。

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