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昼夜の温度差の著しい春の夜明け前に、 空気中の水分が絞り出されて、地表面で露(ツユ)となる。それが朝の急激な温度の上昇によって、水蒸気となり、カスミとなり、霧となるのである。この水分の供給源は、山野を覆い尽くす植物の表面であり、たんぼのぬかるみであり、川辺の水たまりである。 そして、それを気体化するのは、主に太陽の直射光である。日当たりのよいところから、キリとカスミが発生し始める。それが谷間を通って這いながら上昇し、そして消えて行く。そうしたことが午前中止むことなく繰り返されるのである。 たしかにコンクリートとアスファルトで囲まれた市街地でもまれに濃いキリが発生することがある。しかし、こうした霧は、たとえば朝の9時ごろにはあとかたもなく消え去って、大気はキレイに澄みわたっている。この場合、水分の供給源は限られていて、地表の大気中の水分がキリになっている。 だから、気温の上昇に伴う、大気の飽和水蒸気量の増加に吸収されると、その時点で、キリは完全に消えてなくなる。その後、地表面から水分が供給されることがないからである。これがコンクリートとアスファルトで囲まれた市街地での、キリの発生と消滅のパターンである。それは非常に短時間の出来事で、せいぜい2、3時間のあいだである。 |