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9、思いやり。



だがしかし、日本社会には他のアジア諸国には見られない、際立つ特殊性もある。
思いやり、気づかい、察しの心情といったものがそれである。コトバではなく、その場の空気や、しぐさや表情、雰囲気といったもの言わぬ心情でもって、感情を伝え、受け入れ、共有しようとする。そうした無意識の性向、持って生れた情緒の傾向、といったものが
それである。

それは島国という空間的制限のなかで人間が常に接近していて、なおかつ、「島」という孤立した世界のなかで、同一民族ないし同一子孫が、同じ場所でずっと同じように生きて来たという、歴史的事情によって条件づけられ、形成されて来たものと思われる。つまり、争(あらそ)いを起こせないのである。

いさかいや憎しみを子々孫々引きずるわけにはいかないのである。日本は狭いのである。海を越えて外の世界へ簡単に出入りするということが出来ない世界なのである。何がどうあろうと、ここで生きて行かなければならないのである。

戻る。             続く。

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