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早春のころの冬の雪解け水も、少なからずカスミの発生に関係していて、水蒸気=カスミの供給源となっている。春の日々のおだやかで豊富な水分と、優しく暖かな日差しは、植物のめざめと生長をうながし、春独特の色と形でもって地上と世界をかたちづくる。こうした植物の新芽や新緑は周りに水分を多く溜め込むもので、それがまたカスミの発生しやすさとなっている。 こうした春の日々の情景、場面といったもの、それはひとことでいうと「白い空気」の世界である。空気が世界を支配していて、人々と、自分自身の心のなかを支配している。 春は白い色、夏は黄色、秋は灰色、そして冬は青色である。これが日本のそらの空気の色である。 それは目を通した視覚としてというよりも、身体全体と意識以前の、肉体の感覚の記憶として保存されていたものが、めざめて来て、そして感じられるのである。身体全体の五感として、そして本能として、根源的な衝動として感じられてくるのである。 |