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2、印象。



たとえ、目指すものが見えていなくても、それに必ず伴っているもの、それにしかないもの、それにつながっていて、それ以外にあり得ないもの、そしてそれというのが、目指すものとの関係の中でしかあり得ない、といった、そうした前ぶれ、徴候、かすかで微妙な空気の流れ、影や気配といったもの。そうした雰囲気から、実際には見えないものを感じることがあるし、また、それが見えても来るし、見えたと思えてくることがある。

それは、言うなれば「観念的映像」とでも言うべきもので、自分のなかにある無意識の記憶が偏見となって、現実に見ているものを誇大に拡張したり、あるいは歪めて見てしまっているのである。あるいはまた、恐怖のどん底で、はたまた歓喜の絶頂のなかで、無いものを「見た」と思い込んだりするのが、それである。

それは、例えば絵画の世界で、印象的な部分、強調したい部分だけを大きく色鮮やかで極端に表現するのとよく似ている。人間の感覚も、その感じ方もまた、そのように現実を見ているのである。


戻る。            続く。

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