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このような、ぼやけてぼんやりした自己意識の欠けた社会にあっては、気まぐれな野蛮さと、無意味な残酷さが重要な意味を帯びてくる。別の、言い方で表現すると、暴力と命令と恐怖である。それ以外に、人々を結びつける強制力がないからである。 自己意識のないところに内在的なつながりなどなく、それを結びつけるものとしては、暴力的な強制しかないからである。何一つ制約されることのない、気ままで自分勝手な、気まぐれだけが支配する世界にあっては、それを抑えて制御し統合するものとしては、暴力的な強制しかないからである。 気まぐれと感情だけが支配し、なんの因果関係も、原因と結果のハッキリしたつながりもありようがなく、そうした理由も意味も曖昧なぼんやりした世界。そうしたなかで、唯一、重要な意味をもてくるのは、その無意味な残酷さでである。肉体的な残酷さだけが確かなものだからである。それは、意味なき残酷さであればあるほど、重要な意味を増してくるのであって、無意味であること自体に重要な意味があるのである。 |
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