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9、眠ったままで。



もしかすると、そんなことはどうでもよくて、ただたんに、なり行きまかせでいようとしているのかも知れない。自分というのを捨てて、流されるままに安楽に生きようとしているのかも知れない。それがもっとも楽(らく)だし、安心だし、何よりもリスクが少なく、自分に責任が発生しない。自分を捨てているのだから。自分のことを他人にまかせて逃げているのだから。そもそも、自分というのが無いのである。精神の苦しみも悩みもなく、それが生まれる場所も理由も、なにもかもが自分のなかから失われてしまうのである。

もしかすると、ボヤケるというのは、こうした自己意識のもっとも曖昧でぼんやりした状態なのかも知れない。自己の精神が、自分自身の肉体にめざめる以前の、肉体の中でいまだ理没して眠ったままの状態なのかもしれない。何かを意識したり、自覚したりする以前の、自分のカラ(殻)に閉じこもったままの状態を意味しているのかも知れない。これでは、自分に対する責任も苦しみも有りようがなく、それ以前の眠ったままの状態なのである。


戻る。             続く。

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